埼玉県住宅供給公社

相談事例集

その他

近隣トラブル/工事による騒音・振動について

自宅の隣にビルが建てられることになり、工事が始まって騒音や振動が激しく、家の壁に亀裂が出来てしまいました。どうしたらよいでしょうか。
工事が始まってから亀裂ができたと苦情を言っても、「前から亀裂があったのではないか」と言い返されるおそれがあって手遅れになります。計画が分かったら、すぐに相手にお願いをして、着工前の家屋調査をしてもらってください。工事中や工事後に亀裂が発生したら、工事後の家屋調査の結果と比較することによって、工事による亀裂であることが立証されますので、修繕をしてもらいやすくなります。

近隣トラブル/上の階からの騒音について

賃貸マンションの1階に住んでいますが、上の階の子供が早朝から騒ぎだし、ゆっくりくつろぐ事が出来ません。 注意しても「子供のことなので・・」と聞き入れてもらえず困っています。どうしたらよいでしょうか。
騒音に関する問題は、音に対する感じ方は人によって違いがあり、その判断が困難であるため難しい問題です。原則的には、各住民が、他人に迷惑をかけないような住まい方(早朝は特に静かにしてもらうことや、床に厚手の敷物やカーペットを敷く等防音に努めることなど)をすることが解決策となります。まずは管理会社や大家さんと相談し、協力を求めてみてください。生活ルールを守らず、著しく騒音の害を及ぼしている場合は、簡易裁判所における調停や訴訟により損害賠償請求を訴えるということも考えられます。

近隣トラブル/隣地との間の塀の設置について

自宅と隣地との間に現在、塀がありません。塀を設置するには、どのような方法がありますか。
境界を確認し、それぞれが塀を建てるか、共通の塀にするのかを決めましょう。共通塀の設置には、隣地所有者との協議が必要です。塀の種類、費用負担、高さ、材質などについてよく話合いましょう。塀の設置や維持管理費用については折半が原則です。(民法226条)なお、この規定は、双方に建物がある場合の規定です。片方でも駐車場や資材置き場として使用されている場合は適用されません。

隣地に生えている樹木の枝について

隣地に生えている樹木の枝が伸びてきて、私の住宅との境界線を越えています。車庫にとめてある自動車に傷がつきそうなので困っています。
これまでは、自分で根は切れても枝を切ることはできませんでした。
民法第233条第1項
「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。」
同条第2項
「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。」
隣地所有者に対して枝を切るように請求することができますが、しかし、自ら枝を切ることはできませんし、また、勝手に枝を切れば器物損壊罪に問われます。強制的に枝を切らせ、あるいは切るには、訴訟を行って勝訴判決を得てから強制執行手続をとる、という流れでした。
しかし、令和5年4月1日に施行された民法第233条第3項として、次の条文が書き加えられました。
民法第233条第3項
「第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取
ることができる。
一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
二 竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき。
三 急迫の事情があるとき。」この第3項の規定によって、催告(できれば書面によることが望ましい)しましたが相当の期間内(概ね2週間とされているようです。)に枝が切除されない場合には裁判を起こすことなく枝を切除してよい、というように改正されています。ただし、切除の方法や対応などによっては、権利の濫用になる場合があります。
なお、切除に要した費用は、隣地所有者に請求することができます。

他人の所有する土地に水道管やガス管などの設置等について

所有する土地に住宅を建設しようと考えています。この土地は、複数の他人が所有している私道だけに接しています。なお、道路にはすでに前記私道の共有者が敷設した水道管がありますので、この管に接続しようと思いますが、どうしたらいいですか。
令和5年4月1日に施行された民法では、必要な範囲内で、他人の所有する土地に(上・下)水道管やガス管などの生活に不可欠な設備を設置することや他人の所有する前記設備を使用することができる、とされました。
ただし、こうした権利を行使する上では、他人が所有する土地や設備について、その損害が最も少ないものを選ぶ必要があります。
そして、隣地所有者(使用者)に、あらかじめ隣地使用の目的・日時・場所・方法を書面によって通知し、相手方が準備するために必要な合理的期間(2週間程度)が経過してから使用することになりますし、また使用する土地や設備に関する償金や維持管理費用などを負担することになります。民法第213条の2
1 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び次条第1項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
2 前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備(次項において「他の土地等」 という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
3 第1項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。
4 第1項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。この場合においては、第209条第1項ただし書及び第2項から第4項までの規定を準用する。
5 第1項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第209条第4項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。ただし、1年ごとにその償金を支払うことができる。
6 第1項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
7 第1項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。

土地(地中)埋設物撤去費用について

家(建屋付土地)を売却して、買主が建物を解体し新しく家を建てようと地盤調査したところ、地中からコンクリートガラ等の埋設物が出てきました。売買契約にガラの費用負担についてどこにも記載されていません。誰が撤去費用負担をすべきでしょうか。
地中埋設物といっても土地の地下に埋まっているもの全般を指しますので、土壌汚染に絡むものもあれば、いわゆる以前の建物の基礎部分、コンクリート片・屋根瓦等の廃材というガラ、浄化槽・井戸、大きな石(転石)等もあります。ここではガラ等の埋設物について説明します。ガラ等の地中埋設物には、土地の利用に支障がないものも存在し、特に撤去を要しない場合もあります。しかし、地中埋設物が埋まっているために新しく建物を建設する際に、基礎の障害になったり、地盤が軟弱になる等の悪影響を及ぼすこともあり得ます。かかる場合は売主に対して法的な責任を追及することが考えられます。地中埋設物については、契約で決めた目的物の種類・品質・数量などが引き渡した内容と適合しない場合には、「契約不適合責任」(民法第561条)として以下の追及を売主に対してすることができます。但し知った時から1年以内に売主への通知が必要です(民法566条)。
①履行の追完請求(民法562条)…売主側で埋設物を撤去工事を実施したうえで引き渡すよう求める請求です。
②代金減額請求(代金の減額請求)…相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に売主が履行の追完をしない場合には、契約不適合の程度に応じて代金の減額を請求できます。例えば地中埋設物がある場合とない場合で比べた価値の低減分の土地売買の減額を請求することです。
③損害賠償請求(民法564条・415条1項)…契約不適合により、買主が被った損害の賠償を請求できます。埋設物を買主側で負担した場合の、撤去費用等がその対象となります。
④解除(民法564条・同541条)…①の相当期間を定めた催告に対して買主が応じない場合又は売買対象物は契約の目的に合っていない場合、買主は売主に対して契約を解除できます。例えば地中埋設物のために結局建物を建てられなかった場合、買主は契約を解除してなかったことにするような場合です。

確定測量について

隣地所有者が土地を売却するので確定測量に立ち会って欲しいと言われております。
①そもそも確定測量って何ですか?
②またどうしても立ち会わなければいけないでしょうか?
①確定測量とは、隣接地の所有者の立ち会いの下、土地家屋調査士や測量士などの専門家によっておこなわれる土地の境界を確定させる測量の事です。
境界の位置について、全員が同意したら、境界図面を添付した境界確定の書類(土地境界確認書又は筆界確認書)に署名・捺印を行います。
書類は、当事者分作成し、各自が1通づつ保管します。
確定測量により境界位置を明確にすることができ、将来の境界紛争を防止できるという点や相手方の測量費用で境界を確定できるというメリットもあります。土地などの不動産の売却の際に確定測量は、必ずしも必要ではありませんが、確定測量をしていない土地は、売却しづらくなりますし、隣接地との境界が不明確・曖昧なままで引き渡してしまうと、後々でトラブルになる可能性があります。
(土地の面積が1坪違っただけで、土地の売却の際に何十万円も違ってくることもあります。)
そのため、事前に土地の境界をすべて確定しておく方が安心です。
②法律上は立ち会いに応じる義務はありませんが、前述のとおり立ち会った方がメリットは大きいです。もし立ち会いを拒否すると、隣地所有者からすれば境界の確定ができなくなり、土地の売却が進まず、売却額の値下げを迫られたり、場合によっては訴訟を起こされることも考えられます。また、もしご自身が将来売却等で境界を確定したい場合に、過去のいきさつにより隣地所有者の協力を得られないことも想定されます。
どうしても立ち合いができない事情がある場合は代理人の方の出席でも構いません。 その場合でも最終的には土地所有者ご本人が合意の意思表示をする事になります。

重要事項説明について

賃貸住宅の契約を行うにあたって、重要事項説明があると聞きました。重要事項説明とは何ですか。
不動産会社は契約前に必ず重要事項説明書を発行し、借主(契約者)に説明を行う義務があります。
宅建業法上、借主(契約者)に宅地建物取引士が宅地建物取引士証を提示の上、説明することが義務付けられています。
重要事項説明書を発行しなかったり、それを使った説明をしなかったり、宅地建物取引士以外が説明をしたりした場合は契約が無効となります。

【重要事項説明書に記入されている主な内容】
物件の表示(物件の所在・構造・面積等)
登記記録に記載された事項(所有者の氏名・住所、抵当権等の有無等)
設備の整備状況(台所、浴室、便所その他の設備等)
土砂災害警戒区域等の内か否か、水害ハザードマップの有無
石綿使用調査の内容及び耐震診断の内容
契約の期間及び契約の更新に関する事項
利用の制限に関する事項(使用目的、使用規則等)
契約の解除、損害賠償の予定に関する事項(契約の解除予告期間等)
契約の終了時における金銭の精算に関する事項(敷金等の精算)
管理の委託先及び管理形態
その他電気・ガス・水道・排水施設の整備状況、法令の制限等

認知症の親の不動産売却について

認知症の親の持ち家を売却し施設入所の費用に充てたいと考えています。どのように手続きをすすめていけば良いですか。
成年後見制度により、認知症などで判断能力が不十分な人(被後見人)を援助する人(後見人)をつけ不動産売却をすすめる方法があります。成年後見制度は大枠の名称で、さらに2つの制度からなっています。
任意後見制度・・・本人が十分な判断力を有するときに任意後見人となる方やその権限を決める
法定後見制度・・・本人の判断能力が不十分になった後に、裁判所において成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)を選任
上記の制度のいずれかにより、不動産の売却が可能となりますが権限等詳しくは法務省のホームページ(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji95)の成年後見人制度をご覧ください。

耐震基準について

最近、大きな地震が頻発しているので持ち家の在来木造の一戸建てのが、地震に耐えられるか心配です。
耐震基準とは何ですか。自身の住宅が耐震基準にあっているかどのように確認できますか。
1978年マグニチュード7.4の宮城県沖地震が発生し建築物の倒壊などによる損害が大きかったことから、1981年に建築基準法が改正され、1981年6月1日以降の確認申請を受けた建物は「新耐震基準」の建物と呼ばれ「震度5強の地震が到来しても倒壊しない」ように基準が設定されています。それまでに建築された建物は、 その当時の構造基準で設計され、現行の新耐震基準では十分な耐震性能を保有していない可能性があります。
なお新耐震基準は2000年にさらに改正され震度6強・7程度の地震が到来しても建築物が倒壊しないように基準が設定されています。
ご心配であれば、専門家の「耐震診断」を受けることをおすすめします。

定期借家契約への切り替えについて

特に期限の定めのない普通借家契約で、賃貸住宅に住んでいます。数日前に貸主から定期借家契約への切り替えるので、契約書にサインして返送するよう書類一式が送られてきました。従わなければいけませんか。
「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」(概要)が平成11年12月9日に成立し、借地借家法の一部改正により定期借家制度が創設され、平成12年3月1に日に施行されました。 従来型の賃貸借契約は、正当事由(貸主がその建物を自己使用する理由など)が存在しない限り、貸主からの更新拒絶ができず、自動的に契約が更新されるのに対し、定期賃貸住宅契約は、契約で定めた期間の満了により、更新されることなく確定的に賃貸借契約が終了する契約です(双方が合意すれば再契約は可能です)。

借地借家法一部改正は、平成12年3月1日から施行されていますが、それより以前に締結された住宅の普通借家契約は、借主を保護する観点から、借主と物件が変わらない場合、貸主の都合で一方的に定期借家契約への切り替えは認められていません。ただし、貸主と借主と合意解約がなされ、あらたに定期借家契約を締結することは可能です。

不動産広告

インターネットでに格安で条件に合った不動産物件があったので、問い合わせたところ「その物件はもう売れてしまった。別の物件はどうか?」と全く違う物件を熱心に勧めてきました。これは、おとり広告ではないでしょうか。
景品表示法第5条第3号の規定に基づく告示である「不動産のおとり広告に関する表示」(昭和55年公正取引委員会告示第14号)は、自己の供給する不動産の取引に顧客を誘引する手段として行う次のような表示を不当表示として規定しています。
(1)取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示(例…実在しない住所・地番を掲載した物件)
(2)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示(例…売約済みの物件)
(3)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示(例…希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じない場合)
事業者が、「不動産のおとり広告に関する表示」に規定されている不当表示を行っていると認められた場合は、消費者庁長官は当該事業者に対し、措置命令などの措置を行うことになります。(消費者庁HPより抜粋)

相続登記について

母親が亡くなり不動産(家屋・土地)を相続しました。法律が変わってすぐに登記しないとダメだと言われました。どのようなことですか。
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
今まで、相続登記の期限が定められておらず罰則がありませんでしたが、不動産を相続したことを知ったときから3年以内に登記しなければ、ペナルティーとして10万円以下の過料が科されることになります。
義務化の施行日(令和6年4月1日)以前に発生していた相続にも遡及して適用されますので注意が必要です。